ニートや引き籠りから垣間見る「子ども」の葛藤。子どもをパートナーとの不仲の「はけ口」にしていませんか?

いつも性育アカデミー協会のブログをご覧いただき、ありがとうございます。

40~60代のニートや引き籠りは、年々増加しているといわれています。
実際、カウンセリングの現場でも、そのような方々を多く見てきました。

 

今日は、ニートや引き籠りから垣間見る「子ども」の葛藤から、パートナーシップの在り方を見ていきたいと思います。
あなたの考え方のヒントになれば幸いです。

子どもが深層心理に持つ愛情と憎悪

電話カウンセリングを行っていたときのことです。
ある50代の男性がいました。

うつ病を発症しているとのことで、出歩くこともほとんどなく、楽しみは? と聞くと、ネットゲームに明け暮れることだと教えてくれました。

お仕事は、体調をみながらできる仕事で、朝に起きなくてもいいコンビニのバイトを週に2~3日程度されていたそうです。

生活はどうしているの? と聞くと、お母さんと二人暮らしで、お母さんの年金で食べている、といいます。

そして……「母が憎い」という話を延々とされていました。

 

こういう状況は、それほど特別なことではないと思っています。

この状況を心理的な側面でみていくと、「エディプスエレクトラコンプレックス」という状況を垣間見ることができます。

諸説ありますが、「エディプスエレクトラコンプレックス」はフロイトが生み出した概念だといわれています。

簡単にいえば「男の子が父親に敵意を抱き母親に愛情を抱くのに対し、女の子は母親を嫉妬(しっと)し父親に愛情を抱くようになること」です。

また、この概念に対する批判や非難もさまざまにあることも知っています。
けれども、恋愛・結婚がうまくいかない理由の根本にある概念として、無視することはできない概念だと、私は思っています。

さてこの「エディプスエレクトラコンプレックス」を引き起こす要因に、「母子癒着」がおおきく関わっています。

恋愛ができない、恋愛が進まない、引きこもってしまう、異性に近づくことができないなどの原因に「母子癒着がある」と、これまでずっと、私もお伝えしてきたところです。

ですが母子癒着の問題は深層心理にあるために、とても扱いずらい難問でもあります。
深層心理のことは、頭でいくら考えてもわからないものだからです。

では、この「母子癒着」が大きく関わってくる「エディプスエレクトラコンプレックス」。
これはどのようにつくられていくのでしょうか?

心の「正常」な成長とは?

小さい頃、どの子ども達が最初に恋をするのは「異性の親」といわれます。

これは深層心理ですから、実際に「そうだ」と認識できるものではありません。

男の子ならば、もれなく「お母さん」が恋の相手です。

3歳までは、お母さんとの心理的共有が起こりますので「お母さんは僕のもの」という思いを子どもは持っています。
子どもにとっては、お母さんと二人でひとり、とうい感覚です。

ところが、3歳頃から、子どもは「お父さん」の存在に気が付きます。

「お母さんは僕のものだと思っていたのに!!! ライバルがいる!!! こいつなんか、いなくなればいい!!」

「お父さん」に対して、殺意くらい大きな競争心を持つそうです。

一方で、「お父さんも僕を殺したいと思っているのでは?」という投影も起こしてしまいます。
これを「去勢不安」というのですが……子どものなかに大きな葛藤が生まれているのです。

もちろん、これらはすべて深層心理です。認識できるようなものではありません。
ですが、このような感覚を持つことは特別なことではなく、極々「ふつう」のことだともいわれています。

小さな男の子達は全面的にお母さんの見方です。
恋する男子の全力の愛を、お母さんに向けるのです。

当然、お母さんも「息子はかわいい」となると思います。

ところが思春期になるころには、「お母さん……うっとうしい」が始まります。

思春期のころには、「性」的なエネルギーがうごめく時期です。
ですからこの「お母さん……うっとうしい」は、深層心理で近親相姦を避けるためのプロセスだともいわれています。

もちろん、これも正常な成長です。

だから、子どもを旦那さんとの不仲のはけ口にしてはいけない

ここまでに、正常な心の成長過程をみてきました。

小さな子どもがお母さんを「自分のものだ」と思い込んでしまうことも、お父さんを敵視してしまうことも、また、お母さんを避けるようになることも、心の成長にとっては「ふつう」のことなのです。

ですが……

お母さんがお父さんの仲がうまくいっていなかったり
お父さんよりも「僕」の方がお母さんとべったりだったり
お母さんがお父さんの悪口ばかりを言っていたり
お父さんが尊敬されていない状況があったり

すると……お母さんは自分の淋しさから、全面的に自分の見方をしてくれる息子を手放せなくなります。自分の手元にずっと置いておこうとします。

息子の将来よりも、自分の淋しさを紛らわすことを優先している状態です。

これでは、息子はお母さんの「なぐさみもの」です。

そしてこうなってしまうと……息子はお母さんから抜け出すことができない状況に陥ってしまいます。

ニートで引き籠ることもあったり、家庭内暴力などの問題行動を起こしてしまったり……そうして「結婚できない」という状況に陥るでしょう。

そして、このような状況はすでに多くみられるからこそ……「パートナーシップ!」と大きな声をあげるのです。

 

子どもたち(息子や娘)がちゃんと自立するために大切なことは3つです。


◎お母さんから十二分に、愛された! という経験
◎男の子はお父さんに、女の子はお母さんに「負ける」という経験
◎お父さんとお母さんがラブラブである、を知っている経験

この3つが必要です。

特に、お父さんとお母さんがラブラブであれば、同性の親にも簡単に「負ける」ことができるようになります。

成長したときに、「性的な欲求を『異性の親』に向けなくていい」というのが、性の安心感です。

「負ける」経験ができていないと、持てない安心感です。

もちろん、「負ける」も心理的なお話です。

実際に勝ち負けがあるわけではありませんが、「ぼく(わたし)ではないんだ」を腑に落とせるかどうか、です。

そのためにも、子どもを旦那さんとの不仲のはけ口にしてはいけない、ということです。

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