人はみな、二人の「女」と二人の「男」がいます。そしてこの概念はパートナーシップには欠かせません。

いつも性育アカデミー協会のブログをご覧いただき、ありがとうございます。命や尊厳の問題を解決するため、「性」を扱える人材を育てています。
その研修の根幹には、「男性性」と「女性性」のバランスをとり統合する、というテーマがあります。

もしかすると、この「男性性」や「女性性」という言葉たちは、聞きなれない言葉かも知れません。
ですが、この「男性性」「女性性」という概念を知っておくと、パートナーシップを築いていくときにとても役にたちます。

 

人はみな、性別に関わらず、「男性」と「女性」の二つの性質を持っています。

ただし、ここでいう「男性」「女性」とは、いわゆる、「男はこうあるべき」「女はこうあるべき」というような、社会に創られた「男性像」「女性像」を指すわけではありません。

「男性性」「女性性」は、東洋思想に見る「陰」と「陽」の概念に近いものだと思っています。

人の性質を2種類に分けたとき、「男性性」「女性性」に分類されるのだ、と思っていてください。

 

さて、性愛心理学でパートナーシップを考えるときには、これはとても大切な概念です。
今日は、ここをテーマにお話をしたいと思います。

あなたの考え方のヒントになれば幸いです。

「男性性」と「女性性」のバランスをとり統合するとは?

「性」を扱える人生を育てるためのカリキュラムは、<「男性性」と「女性性」のバランスをとり統合する>というテーマがあります。

二つに分かれているものを分離させたままにしておくのではなく「統合する」のです。

自分の内側にある「男と女の戦いを終わらせる」という表現もできるのですが……

違う性質のもの同士を「切り離す」のではなく、それぞれを理解し分かち合い、共に歩もうとすることが、「統合する」という意味です。

実は、これを進めるための、<「男性性」と「女性性」のバランスをとり統合ワーク>というものがあります。

このワークは、セルフセラピーとして、自分自身に長年使ってきたワークでもあります。
ひとりでできる、セラピーの手法でもあります。

実際に体験してみないとイメージすることが難しいかもしれませんが、皆様にもご紹介させてください。

パートナーシップを考える上ではとても大切な概念です。
また、研修ではこんなこともするんだぁ、と興味を持って頂けたなら嬉しいです。

 

「男性性」と「女性性」のバランスをとり統合するワークの手順

まずはじめに、自分の中に4人のキャラクターがいることを前提にします。

品位の低い女性性のキャラクター
品位の高い女性性のキャラクター
品位の低い男性性のキャラクター
品位の高い男性性のキャラクター

の4人です。
そして、それぞれのキャラクターが、どんな様相であるかを決めます。

品位の低い女性性のキャラクターとは、自分が「最低だ」と思う女の様相です。
たとえば……

ぐずぐずしている。愚痴ばかりいう。人の悪口ばかりいう。人のせいにする。陰口をいう。意地悪。ヒステリック。人の顔色ばかり見る。強いものにはいい顔をする。下品。鬼ばば。頑固。ブス。

など

 

品位の高い女性性のキャラクターとは、たとえば……

凛としている。潔い。決めたことに責任を持てる。正直である。腹をくくれている。やさしくおおらか。明るい。上品。かわいい。セクシー。

など

品位の低い男性性のキャラクターとは、たとえば……

酒を飲みクダを巻く。弱いものいじめ。責任転嫁。八つ当たり。暴力、暴言。弱いくせに偉そう。高飛車。高圧的。暗い。決めきれない。逃げる。曖昧。後悔ばかりしている。昔の栄光にしがみつく。

など

品位の低い男性性のキャラクターとは、たとえば……

リーダーシップがある。明るい、人を喜ばせる。人を惹き付ける魅力がある。決断力。行動力。おおらか。かしこい。交渉力がある。人が好き。人に囲まれてる。ユーモア。行動力がある。実現力がある。勇気がある。チャレンジする。勉強家。あきらめない。

など

なんとなくでも、それぞれの性質をイメージしていただけましたか?

これからの4つのキャラクターを自分なりに設定することができたなら、このワークでは、次に、こんな手順を踏みます。

まずは、品位が高い男性性のキャラクターが、品位の低い女性性のキャラクターを育てます。
すると、品位の低い女性性は、品位の高い女性性に変化します。
次に、その品位の高い女性性は、品位の低い男性性に近づきます。
すると、品位の低い男性性は、品位の高い男性性に育ちます。

現実のパートナーシップに現れる、男性性と女性性の様相

さて、なぜ、ここで<「男性性」と「女性性」のバランスをとり統合ワーク>をご紹介したのかというと……理由があります。

それは、現実のパートナーシップの中にも、このような現象が現れるからです。

旦那さんと自分の関係性において、自分の品位が低くなると旦那さんの品位も下がります。
旦那さんがイライラしていると、自分までイライラする、そんな状況です。

ですから、旦那さんの品位が下がっている時、そのままでいると、旦那さんの品位が自分に映ってしまいます。自分の品位も下がってしまいます。

ですが、自分が自分の状態を保ちそれでも、旦那さんを「いい男や」と見ていると……沼から抜けだすことができます。

(ここでの「品位」とは、上段でお話した「男性性」と「女性性」のキャラクターを指します。
その人に「品がない」という意味ではなく、上段に示したキャラクターのような「状態にある」という意味です。)

ここで試されているのは、相手への信頼です。
どんな彼でも受け入れる、という自分への信頼でもあります。

そして、「どんなに酷い状況があっても彼は抜け出すから大丈夫」と彼を信頼して待つ。

待つといっても、心配や不安で待つのではありません。
また甘やかすのでもありません。
彼の状況を自分の状況に置き換えてはいけません。

わたしの態度は変えません。
自分がやりたいこと、自分が好きなことをして待つ、のです。
彼が抜けることを信じて「わたしはわたしに集中する」

そしてこれが、<「男性性」と「女性性」のバランスをとり統合>のための実際的な行動です。

切り離すことは簡単です。
見ないことにすることも簡単です。

けれども、愛し抜くこと。

どんなに酷くても、相手の才能を見続けること
「あなたはもっと素晴らしい」と扱い続けること

それが、人を愛するということであり、自分を愛するということです。

自分を信頼するかこそ、相手も信頼できるのかもしれません。
自分を愛するからこそ、相手も愛せるのだと思います。

自分を愛した分いだけ、パートナーが愛おしくなる。
共に人生を歩くという醍醐味なのだと思います。

 

この高みを見る人が一人でも多くなりますように。
私も、進みます。

 

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